1.2GHz用パッチアンテナの製作

以前からシミュレーションを続けていた1.2GHz用のパッチアンテナを製作してみました。OpenFDTDSonnet Liteでのシミュレーションを繰り返した結果とほぼ同じになりました。

パッチアンテナの共振周波数はパッチ寸法をL x Wとした場合以下になります。
  (nπ/L)^2 + (mπ/W)^2 = (2π / λg) ^2
  λg = λ0 / sqrt(εr)
  ここでλ0は自由空間の誘電率、εrは基板の比誘電率になります。
 以上より、基本モード n=1, m =0での共振条件は
  L = λg / 2 – ε
 となります。εはフリンジ効果というパッチエレメントの端から電磁界が漏れ出す効果を考慮した分の短縮長となります。
 今回はL = 104mm、W = 100mm(冒頭の図) でシミュレーションを行ってみました。給電点のインピーダンスはエレメントの中心から端に近寄るほど高くなります。ここではシミュレーション結果から50Ωに近い中心から23mmの位置に置いてみました。
 以下はSonnet Liteのパラメータスイープで給電点位置やエレメントの高さをカットアンドトライしてみた結果です。

 シミュレーションでは上記のエレメントの寸法で高さ7mm-8mmとすればピッタリの共振点になりそうです。実際にはおよそ8.5mmとなりました。

 ジグソーで切った0.5mm厚の真鍮板を、150mm x 200mm の紙エポキシ片面ベタ基板の上にM4のボルトで固定しています。高さはプラスチックスペーサをヤスリで削って調整しました。
 背面はこちら。 SMA-Jを直接基板に固定し錫メッキ線で真鍮板の給電点に半田付けしています

  中華アナライザが結局入手出来ず 、 アンテナの調整はnanoVNAに頑張って貰いました。パッチエレメントの高さを変えて共振点を調整。

高さ8.5mmで以下のような感じになりました。

 新しく入手したアンテナアナライザを使ってもう少し高さ調整してみました。ワッシャを入れてエレメントを少し高くしてこんな感じになりました。

N1201SAによる計測結果

山に持っていく際にはB5ファイルケースに収納してザックにいれています。

実際に使っている様子はこちら。

GND板の下側に穴をあけL字アングルで三脚に固定しています。ゲインは理論値で9dBi。実測ではBiquadに比べると平均的にS=2ぐらい弱い感じです。先日の大山アクティベーションでは那須岳とのS2Sもこなしました。
 簡単な構造の割にはそこそこ使えそうなアンテナでした。次回はフィードポイントをもう少し追い込んで製作してみたいと思います。

参考文献
1. 「小型/超小型アンテナの設計/製作/測定法」 RFワールド, No.14, pp.21-23

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